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匣の中の失楽(竹本 健治)

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)匣の中の失楽 (講談社ノベルス)
(1991/12)
竹本 健治

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1日1冊を目標に掲げながらも、ほぼ3日坊主で終わっていた読書録のようやくの更新です。
しかし、この本相手に1日で読破は厳しいものがあります。
読み終わった後に知ったんですが、『黒死館殺人事件』、『ドグラ・マグラ』、『虚無への供物』といったそうそうたる面々と共に、四大奇書と呼ばれる本だったらしいですね。どれもまだ未読ですが、『ドグラ・マグラ』を筆頭にお噂はかねがね聞いております。これも読後に知ったんですが、何でも『虚無への供物』から強い影響を受けてるとかで、『匣の中の失楽』を読むのなら『虚無への供物』も併読すべきだとか。言わんとすることはもっともですが、この作品並のをもう1回連続して読むのはちょっとキツいです。というか、無理です。というわけで、しばらくは大衆小説に浸ってみたいと思います。

さて、とりあえず感想です。
頭がおかしくなります。混乱どころの話ではありません。もう何度本を閉じようと思ったか…最後の方は半分義務のような気持ちで読んでいました。
いわゆる『日常の謎』系を主に好むみのりにとって、本書のように章立ての構造自体が謎のメインになっている話は久しぶりでした。一時期、物語全体の枠組みが最後に明らかになる折原的タイプの叙述を読みまくったこともありましたが、同様に枠組みがメインとなっている本であっても、『函の中の失楽』は最後の最後に謎が解けてスッキリ系の本ではありませんでした。むしろ、最後まで読めば読むほど混乱していくタイプの小説です。この辺が奇書と呼ばれる由来なのでしょう。

ミステリの分類でいえば、メタミステリの作中作系になりますがそう単純にまとめられるものではないのが本書の複雑さです。この作品では、(仮にAとBという記号を用いれば)Aパートには現実に起こる事件、Bパートには作中人物による小説で起こる事件が交互に描かれています。そういった設定であることは読み始めてすぐにわかるのですが、それがわかったところで頭が混乱しないわけではありません。
現実パートで死亡したXが、小説パートでは平然と生きていたり、小説パートで殺されるYが、現実では飄々としていたり。
章が進むにつれて、登場人物達が口々に「俺は俺の意志で動いているのか、それとも小説の一人物として動いているのか」といったことを口にするようになったり。
『光子の裁判(物理学)』を持ち出して壁すり抜けを説明したり、化学構造式が出てきたり、九星学に…。
そんな内容が原稿用紙1200枚分に思う存分散りばめられているのです。

密室のトリック自体は若干無理があるんじゃないかなぁ…と思うところもあるにはありましたが、この本の魅力は細かいトリックそれぞれでにあるのではなく、“構成”に尽きるのでしょう。読後に残るのが、トリックや犯人の名前ではなく、このふわふわした構成であることもそれを裏付けています…と言えたら格好いいですが実際、みのり自身きちんとこの本を理解できた気はしていません。きっと今から2週目に入ればまた得られるものもたくさんあるのでしょうが…ちょっとそれは精神的に厳しいようです。

これほど頭が入り乱れる小説、作者の方自身もかなり苦労しながら書かれたのではないでしょうか。著者紹介を見れば、この作品を書き上げたのが21歳の頃だとか。みのりは今18歳なので、あと3年すると21歳になります。そう考えると何だかショックです。

まぁ、とりあえずこんな感じでしょうか。
ミステリにおいてネタバレほど禁忌とされるものではありませんが…もしまだ未読の人が、この本を読む前にあらすじを知ってしまったり、犯行方法を知ってしまったりしてもこの本の読後感が大きく損なわれることはないでしょう。読んでみればわかります…といった本。

次はもうちょっとライトな本を読むぞー。
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柚木みのり

Author:柚木みのり
趣味:女装・読書(国内推理小説)
サークル:大学ではミス研。趣味では同人サークル「きゅうり定数」の主宰です。女装や制服の評論本・研究本を出してます。

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